こんにちは。ゆうです。
透析では主に行うのは下の3点です。
- 毒素の除去
- 電解質の調整
- 水分の除去
毒素の除去や電解質の調整の原理は”拡散”、水分の除去の原理は”限外ろ過”です。
この記事では拡散について解説してきます。
”限外ろ過”については以下の記事で説明しています。
Contents
拡散の意味とは
拡散(かくさん、羅: diffusio) とは、粒子、熱、運動量などが自発的に散らばり広がる物理現象である
(Wikipediaより引用)
ちなみに拡散は英語でdiffusionといいます。
身近な例はカルピス。
水にカルピスの原液を入れると透明だった水が白くなっていきますよね。
こんなかんじに濃度が均一になるように物質が広がっていく現象を”拡散”と呼びます。
拡散の推進力は濃度差
実は拡散が起こる推進力は”濃度差”によります。
カルピスの例をみてみましょう。
水にカルピスの原液を入れたその場所の濃度は濃くなります。
物質は濃度の高い方から低い方へ移動する性質があり、同様にカルピス原液もさらに濃度の低い方へ低い方へと移動していきます。
このように”濃度差”があることによって拡散が起きるのです。
半透膜を介して水の移動が起きる現象は”浸透”とよぶ
拡散は液体を半透膜という膜で仕切っても起きます。
半透膜(はんとうまく、semipermeable membrane)とは一定の大きさ以下の分子またはイオンのみを透過させる膜である。
(Wikipediaより引用)
半透膜は目に見えないようなとっても小さな穴が開いていると思えば大丈夫です。
【拡散】物質の移動が起きて濃度が均一になる
半透膜で仕切られた容器に濃度の違う液体をそれぞれ入れます。
半透膜を通る物質は拡散の力で左右で同じ濃度になるように移動します。
下の図だと右の方が濃度が高く、物質□は半透膜を通って左の方へ移動し、濃度が均等になったところで移動が止まります。
【浸透】物質の移動で濃度が均一にならなければ水が動く
半透膜で仕切られた容器の左右に濃度の違う液体を入れましたが、半透膜を通れない物質が含まれていたとします。
拡散の力で左右を同じ濃度にしたいのに物質が半透膜を通れないので濃度が均一にならない…。
そうなると濃度を均一にするために”水”が濃度の低い方から高い方へ移動します。
結果、右と左の液体の量は変わりますが濃度は均一になります。
下の図だと、半透膜を通れない物質〇は濃度の低い左の方へ移動できないかわりに、自由に行き来できる水が左から右へ移動して濃度を均一にします。
このように半透膜を介して濃度が一定になるように水の移動が起きることを”浸透”と呼びます。
そしてこの水の移動を起こすエネルギーを”浸透圧”といいます。
ちなみに浸透とは英語でosmosis。
女性に人気のファッションブランドにも使われていますね。私はこれで英語まで覚えました(笑)
透析と拡散の関係
透析ではダイアライザーという半透膜の役割をする膜を用いて、拡散の原理を利用して毒素を除去します。
ダイアライザーの中の中空糸と呼ばれる膜も目に見えない小さな穴が開いていて、血球など体に必要なものは通さず、不必要な毒素などは穴を通って捨てられるようになっているのです。
中空糸を介して接するのは血液と透析液。
穴を通るものは濃度の高い方から低い方へ移動する性質があるので、毒素はどんどん捨てられていきます。
逆に穴を通るものであまり捨てたくないものは透析液側の濃度を低くしすぎないように調整して、捨てすぎないようにしています。
透析液側の物質の濃度を変えることで、積極的に捨てたいもの、あまり捨てたくないものを選んで調整することができるのです。
これが透析における拡散の仕組みです。
まとめ:透析における物質除去の原理は拡散
透析によって電解質の調整や毒素の除去を行いますが、その原理は”拡散”という至ってシンプルなものです。
濃度の高い方から低い方へ物質が移動する現象を上手に利用して透析治療は成り立っています。