こんにちは。臨床工学技士ゆうです。
この記事でははじめて「透析」という言葉を知った方のために、
- 透析って聞いたことはあるけど知らない。
- 誰がするの?
- 何をしているの?
- 日本では何人くらい透析をしているの?
という疑問に答えます。
Contents
透析とは
透析は末期腎不全に対して、体内に溜まった毒素や水分を取ったり電解質の調整をしたりする治療法です。
腎臓が悪くなると尿が少なくなったり出なくなったりします。
これが続くと本来尿として出るはずの体内の毒素や水が体に溜まってしまい、体調に異常をきたすばかりでなく、命にも関わります。
また本来腎臓で行っている電解質(カリウムやナトリウム、カルシウムなど)の吸収や排せつも行えなくなるので、透析でうまく調整しています。
末期腎不全になった腎臓の機能は戻らないので、週3回通院して透析を続けていく必要があります。
そのため末期腎不全に対する透析は”維持透析”と呼ばれたりもします。
血液透析はどうやって行うの?
血液透析は血液をダイアライザーと呼ばれる器具に通して綺麗にしてまた体内に返す治療です。
ダイアライザーの中には中空糸と呼ばれる細いストローのようなものが約1万本入っています。
この中空糸の中に血液を、外側に透析液を流します。
中空糸にはたくさんの小さな穴が開いており、赤血球などの血球などは通さず、逆に毒素や水などは通るようになっています。
この中空糸の中を血液が通ることで、不要な毒素や水分が除去されています。
透析をしなければいけない末期腎不全とは?
末期腎不全は慢性腎臓病が悪化した病態です。
慢性腎臓病とは腎機能が長期にわたってゆっくり悪くなっていく病態で、ステージは5つに分かれています。
ステージG1,G2では自覚症状がほとんどありません。
ただ、この段階で発見されて生活習慣の改善があれば、回復する見込みがあります。
ステージG3から少しずつ自覚症状が出始め、専門的な治療が推奨されます。
ステージG3,G4と進行するにつれて症状は悪化。さらには貧血や心血管の合併症のリスクが高まります。
ステージG5になると末期腎不全と呼ばれ透析治療のような「腎代替療法」が必要になってきます。
透析だけではない。腎代替療法の種類
末期腎不全に対する腎代替療法には大きく3つあります。
- 血液透析
- 腹膜透析
- 腎移植
です。
血液透析
よく一般的に言われる透析とは大体この事を指し、正式には「血液透析」と呼ばれます。
自分の血管に針を刺して血液を体外に出し、ダイアライザーを通して毒素や水を抜き、再び体内へ返します。
これは1回4時間ほどかかり、週3回通院して行います。
腹膜透析
腹膜透析とは自分のお腹の中にある”腹膜”を利用して透析をする方法です。
腹部に透析液を入れておいて腹膜を介して体内の毒素や水分を抜き、4~8時間後に排液して、また新しい透析液を入れるというのを繰り返します。
通院は月1~2回で済みますが、透析液の入れ替えなどは自分で行わないといけません。
腎移植
腎移植は献腎移植と生体腎移植の2種類あります。
献腎移植は脳死などで亡くなった方から腎臓を提供してもらう方法。
生体腎移植は親族や姻族から腎臓を提供してもらう方法です。
腎臓はもともと2個あり、実は1個でも機能します。そのため親や夫婦間で腎移植を行う人が多いです。
日本の透析と現状
日本で血液透析や腹膜透析を行っている人は約33万人にのぼります。(2017年末時点)
そして毎年3~4万人が新たに透析を始めるに至っています。
透析に至る原因で一番多いのは糖尿病
透析に至る原疾患で一番多いのは糖尿病性腎症です。
糖尿病自体は血糖値が高い状態が続く病気ですが、危ないのは様々な病気を引き寄せる点です。
糖尿病が原因で、腎臓だけでなく血管や心臓、神経、目に至るまで様々な臓器で合併症が起こります。
専門医での適切な治療が必要です。
年々透析を行う方は増えている
2017年末の新規透析導入患者数は40,959人。
2017年に亡くなった方は32,532人。
血液透析や腹膜透析を行う方はここ数年では4,000人くらいずつ増えており、全体で334,505人になっています。
まとめ
- 透析は腎代替療法の一つで、末期腎不全患者に対して行われるもの。
- 腎代替療法は、血液透析・腹膜透析・腎移植の3つがある。
- 透析は体に溜まった毒素や水分を抜く治療。
- 日本では約33万人が透析治療を行っている。
透析をする方は年々増え、テレビでも取沙汰されるようになってきました。
一方で、透析を実際に経験したり、身近に透析をしている人がいないと、透析ってよく分からないと思う人も多いはずです。
この記事でまとめた事はどんどん深堀できる内容ばかりですが、とりあえず大まかな内容だけでも知ってもらえたらと思います。